大きく3つだけです
やることは多く見えますが、整理すると3本の柱にまとまります。
通常の育休は1か月前
児童手当は15日以内
最優先の時期
出産の主役はママですが、産後1か月のあいだ、外で動ける人はパパだけになります。ママは出産直後から体の回復期に入ります。労働基準法では産後8週間は就業させてはならないと定められ、そのうち最初の6週間は本人が希望しても働けない強制的な休業期間です。役所に行く、書類を書く、買い物をする——こうした「外のこと」は、この時期ほぼパパの仕事になります。
この記事では、産後にパパがやることを「育休の段取り」「公的な手続き」「家のことを回す」の3つに整理して、時系列で解説します。難しいのは最初の段取りだけで、そこさえ押さえれば残りは手順どおりに進められます。
※ 産後パパ育休は出生後8週間以内で最大28日。そのあとに通常の育休を続けて取ることもできます。
育休を取るつもりなら、妊娠がわかった時点で会社に相談を始めてください。産後パパ育休の申し出は原則として休業開始の2週間前まで。出産は予定日どおりに来ないので、直前に動くと間に合わないことがあります。
01. 妊娠中にやること
この時期のテーマは「段取り」です。ここでの準備が、産後の余裕をそのまま決めます。
育児休業給付金は「会社員なら誰でも」ではありません。原則として休業開始日前の2年間に、賃金支払の基礎日数が11日以上(または基礎時間が80時間以上)の月が12か月以上必要です。転職して間もないパパは対象外になることがあります。育休そのものは取れても給付が出ないと家計の計算が変わるので、まずここを勤務先かハローワークで確認してください。
※ 日数と時期はイメージです。上乗せ給付(13%)の対象になるのは、パパは子の出生後8週間以内、ママは産後休業の終了後8週間以内に取った育休です。
分割のルールは制度ごとに違います。産後パパ育休を2回に分ける場合は1回目の申し出時に2回分まとめて申し出ますが、通常の育児休業を2回に分ける場合はまとめる必要がなく、それぞれ原則1か月前までに申し出ます。Cの2回目は通常の育休にあたります。
13%の上乗せ(出生後休業支援給付金)の対象になるのは、パパは子の出生後8週間以内、ママは産後休業の終了後8週間以内に取った育休で、それぞれ14日以上が原則の条件です。落ち着いてから取ろうと先送りすると、この上乗せの対象から外れます。給付の中身は 育休でもらえる給付金4つ で詳しく整理しています。
「夫婦ともに14日以上」はあくまで原則で、配偶者が育休を取れない事情がある場合は、配偶者の取得が条件から外れます。厚生労働省のQ&Aでは、配偶者がいない/配偶者が無業者/配偶者が自営業やフリーランスなど雇用される労働者でない/配偶者が産後休業中、といったケースが挙げられています。パートナーが専業主婦(主夫)や自営業だからと自己判断で対象外と決めず、厚生労働省の簡易診断か勤務先で確認してください。
02. 出産当日から退院まで
この数日は、手続きよりも「記録」と「連絡」が中心です。あとで必要になる情報が、この時期にまとめて発生します。
03. 産後2週間:ここが手続きの山場
期限の短い手続きがここに集中します。順番を守ると、一度の外出でまとめて終わります。前の手続きで出た書類が次の手続きに必要になるためです。
| 手続き | 期限 | 場所 | 持っていくもの |
|---|---|---|---|
| 出生届 | 生後14日以内 | 市区町村の窓口 | 出生証明書つき出生届・母子手帳 届出人の本人確認書類(押印は2021年9月から任意) |
| 児童手当 | 出生翌日から15日以内 | 市区町村の窓口 | 請求者の口座情報・本人確認書類 マイナンバーが分かるもの 請求者は原則として生計中心者(収入が多い側)で、口座も本人名義 |
| 健康保険の加入 | 事実発生から5日以内 遅れても遡って加入できますが 1か月健診までには済ませたい |
勤務先 または市区町村 |
出生届の控え・保険証 |
| 乳幼児医療費助成 | 保険証ができ次第 | 市区町村の窓口 | 赤ちゃんの保険証 |
出生届(14日以内)と児童手当(15日以内)はどちらも期限が短く、注意が必要です。15日を過ぎても請求自体はできますが、その場合は請求した月の翌月分からの支給になり、それまでの月の分は受け取れません。期限内に出せば出生月の翌月分から受け取れるので、遅れた月数だけ消えると考えてください。出生届と児童手当は同じ日に同じ役所で済ませるのが確実です(戸籍の窓口と子育て支援の窓口に分かれていることが多いので、庁舎内で2か所まわるつもりで行きます)。里帰り出産で出生届だけ里帰り先に出した場合、児童手当は住民票のある自治体での手続きになる点にも注意してください。
04. 産後1〜2か月:家を回す時期
手続きが片づいたら、ここからは生活をどう回すかが中心になります。ママは体の回復の途中で、睡眠も細切れです。パパが「言われてからやる」のではなく「先に拾う」側に回れるかどうかで、この時期の負担がまったく変わります。
優先度が高い3つ
- 夜間の対応を分担する…ミルクを使えるなら、夜の1回をパパが担当するだけでママのまとまった睡眠が確保できます。
- 名前のない家事を引き取る…買い出し、ゴミ出し、消耗品の補充、上の子の送迎。頼まれる前に回すのが基本です。
- 1か月健診に付き添う…ママと赤ちゃんの両方を診てもらう日です。荷物も多く、移動の負担が大きいので可能なら同行を。
出産は、交通事故並みのダメージとも言われます。労働基準法でも産後8週間は就業させてはならないと定められ、うち最初の6週間は本人が希望しても働けません(6週を過ぎたあとも、本人が請求し医師が認めた業務に限られます)。見た目が元気そうでも回復の途中です。「動けるなら大丈夫」ではなく、動かなくて済む状況を作るのがこの時期のゴールになります。
05. 先輩パパがやりがちな失敗
産後パパ育休の申し出は原則2週間前まで。「生まれてから考えよう」と思っていると、出産が早まったときに間に合いません(取得できる期間の終わりは後ろにずれるので、問題になるのは申し出の期限です)。会社によっては労使協定で1か月前までになっていることもあります。通常の育休はさらに早く、原則1か月前までです。
上乗せの13%は、取得日数が14日以上であることが大前提です。1週間にすると、自分の上乗せが消えるだけでなく、ママ側の条件も満たせなくなります。なお「夫婦ともに」は原則で、配偶者が無業・自営業・産後休業中などの場合は配偶者の取得が条件から外れます。
出生届だけ先に出して児童手当を翌月に回すと、その分はさかのぼって受け取れません。同じ窓口なので必ず同じ日に。
出生時育児休業給付金は、子の出生後8週間を経過する日の翌日にならないと申請できません。育児休業給付金の初回振込も、育休開始から2〜3か月後になることがあります。会社の事務を挟むとさらに延びるため、その間は収入が止まる前提で、生活費を先に確保しておく必要があります。
配偶者の出産で使える特別休暇や祝い金は、申請しないと受け取れません。期限が「出産後◯日以内」と短いことが多く、知らないまま過ぎてしまいがちです。
育児・介護休業法は、育休の申し出や取得を理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁止しています。制度の要件を満たしていれば、会社は申し出そのものを拒めません。話が進まないときは、各都道府県の労働局にある雇用環境・均等部(室)が相談先になります。匿名での相談もできます。
よくある質問
産後パパ育休は、いつまでに会社に言えばいいですか?
産後パパ育休と通常の育休は、両方取れますか?
育休中の収入はどのくらい減りますか?
出生届は父親が出しても大丈夫ですか?
里帰り出産の場合、パパは何をすればいいですか?
まとめ:この3つだけ覚えておけば大丈夫
出産は予定日どおりに来ません。どちらを取るのかを決めたうえで、妊娠中のうちに会社の規定を確認し、申し出まで済ませておきます。
13%の上乗せは夫婦両方の取得が条件。何日ずつ取るかは、妊娠中に夫婦で決めておきます。
14日と15日という短い期限。児童手当は遅れた分をさかのぼって受け取れません。
参考にした公的な情報
- 厚生労働省:育児・介護休業法について
- 厚生労働省:育児休業等給付について
- 厚生労働省:Q&A〜育児休業等給付〜
- 厚生労働省:出生後休業支援給付金の簡易診断
- 政府広報オンライン:2024年10月分からの児童手当の拡充
※この記事は2026年10月時点の情報をもとに、筆者が実際に手続きした経験を加えてまとめたものです。申し出の期限や必要書類は、勤務先の就業規則・労使協定やお住まいの自治体によって異なる場合があります。手続きの前に必ず各窓口で最新の内容をご確認ください。

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