【ママ版】産休・育休のお金と手続き完全ガイド|収入の変化を図解

For Mothers
産休・育休で、
収入はこう変わります

いちばん不安になるのは「いくら減るのか」。まずそこから見ていきます。

産休前から1歳までの収入の変化 額面ではなく「何に置き換わるか」で見ると分かりやすくなります
100% 給与 100% 出産手当金 約2/3 80% 13%上乗せ込み 育休給付 67% 29〜180日目 育休給付 50% 181日目〜 産休前 産休(産前42日+産後56日) 最初の28日 29〜180日目 181日目〜 育児休業(原則1歳まで) ※ 80%の28日分は育休と別枠ではなく、育休の最初の28日に上乗せが付いた状態です。

※ 80%の期間は、夫婦ともに14日以上の育休を取った場合に付く上乗せ(出生後休業支援給付金)が入った状態です。ママは産後休業の終了後8週間以内、パパは子の出生後8週間以内に取るのが条件で、片方だけの取得では原則つきません。

※この記事は、勤務先の健康保険と雇用保険に加入している方を前提にしています。パートナーの扶養に入っている方や国民健康保険の方は、出産手当金と育児休業給付金の対象外です(出産育児一時金と妊婦のための支援給付は受けられます)。

産休・育休は「無収入になる期間」ではありません。給与が止まる代わりに、健康保険から出産手当金、雇用保険から育児休業給付金が出ます。しかも、この間は社会保険料が免除され、受け取る手当や給付金に所得税・住民税がかからないため、手取りで見ると額面の割合よりも目減りは小さくなります。

この記事では、産休に入る前から復帰までを時系列に追いながら、いつ・何が・いくら入るのかと、見落としやすい落とし穴を整理します。

01. 産休に入る前にやること

産休はいつからいつまで? 産前は「希望すれば」、産後は「法律で」休む期間です
出産日 産前 42日(多胎は98日) 産後 56日 産後6週間は働くことができません 本人が請求して取得 7〜8週目は本人が 請求し、医師が 認めれば就業可 ※ 産前42日は出産予定日から数えます。出産が予定日より遅れた場合は、遅れた日数分も産前に加算されます。
産休・育休の予定を会社に伝える

いつから産休に入り、育休をどのくらい取るのか。引き継ぎの都合があるので、安定期に入ったら早めに相談します。

出産手当金・育休給付の書類を受け取る

多くは会社が手続きしますが、出産手当金の申請書には産院に書いてもらう欄があります。入院時に持っていけるよう、産休前に受け取っておきます。

社会保険料の免除申請を会社に依頼する

産休・育休中の健康保険料と厚生年金保険料は免除されますが、会社から年金事務所への届出が必要です。自動では止まりません。

住民税の払い方を確認する

住民税だけは免除されません。給与天引きができなくなるため、納付書で自分で払う方式に切り替わるのが一般的です。会社に確認しておきます。

02. 産休中に入るお金

制度いくらいつ申請先
出産手当金 標準報酬日額の2/3
産前42日+産後56日のうち休んだ日数分
産後56日の経過後に申請
協会けんぽは受付から10営業日以内が目安
勤務先の健康保険
出産育児一時金 原則50万円
産科医療補償制度に未加入の
医療機関での出産や在胎22週未満は48.8万円
出産時
産院への支払いに充当
産院・健康保険
妊婦のための支援給付
2025年4月〜
5万円+5万円
2回目は胎児1人につき5万円
妊婦認定の申請後と
出産予定日の8週間前以降の
胎児数の届出後
市区町村
社会保険料の免除 健康保険・厚生年金が0円
本人負担・会社負担とも免除
産休期間中
月単位で判定
勤務先が届出

出産手当金はいくらになる?

計算のもとになるのは、出産手当金が出はじめる日より前12か月の「標準報酬月額」の平均です。これを30で割った「標準報酬日額」の3分の2が、1日あたりの金額になります。

「標準報酬月額」は額面給与とイコールではありません

社会保険の計算に使う等級で、通勤手当などは含みますが賞与は含みません。給与明細の健康保険料・厚生年金保険料の欄や、ねんきん定期便で確認できます。賞与の割合が大きい人は、年収に対する実際の置き換わり率が3分の2より低くなる点に注意してください。

計算例:平均の標準報酬月額が30万円の場合(目安)
標準報酬日額(30万円 ÷ 30)10,000円
1日あたりの出産手当金(× 2/3)約6,667円
支給日数(産前42日+産後56日)98日
合計(目安)約65万円
加入して1年たっていない場合

健康保険の加入が12か月に満たない場合は、「加入してからの各月の平均」と「加入先の全被保険者の標準報酬月額の平均額」の低いほうで計算されます。転職直後や新卒で出産を迎える場合、上の計算例とは大きくずれることがあります。

出産が予定日より遅れたら、その分は増えます

産前の42日は出産予定日から数えます。実際の出産が予定日より遅れた場合、遅れた日数分も産前の支給対象に加算されます。逆に早く産まれた場合は、その分だけ産前の日数が短くなります。

03. 育休中に入るお金

産後休業(産後56日)が終わると、その翌日から育休に移り、お金の出どころが健康保険から雇用保険へ変わります。

まず確認:受給の条件を満たしていますか

育児休業給付金は「会社員なら誰でも」ではありません。原則として育休開始日前の2年間に、賃金支払の基礎日数が11日以上(または基礎時間が80時間以上)の月が12か月以上必要です。転職して間もない場合や、時短で入社した場合は要注意。産前休業の開始日を起点に判定できる特例もあるため、満たせるか不安なときは早めに勤務先かハローワークに確認してください。

金額のもとになるのは「休業開始時賃金日額」で、育休前6か月の賃金の合計を180で割った額です。こちらも賞与は含みません。

制度いくら期間上限額
育児休業給付金 賃金の67% 育休開始〜180日目 332,454円
支給日数30日の場合・2026年8月改定
育児休業給付金 賃金の50% 181日目〜原則1歳 248,100円
支給日数30日の場合・2026年8月改定
出生後休業支援給付金
2025年4月〜
+13%
夫婦ともに14日以上の育休が条件
ママは産後休業の終了後8週間以内
パパは子の出生後8週間以内
育休の最初の
最大28日分
60,205円
2026年8月改定
社会保険料の免除 健康保険・厚生年金が0円
免除期間も年金額の計算上は
納めた期間として扱われます
育休期間中
開始月〜終了日の翌日が属する月の前月
—

1歳を過ぎても延長できる場合があります

保育所に入所できないなど一定の事情がある場合、育休と給付金は1歳6か月まで、さらに2歳まで延長できます。ただし自動では延びません。保育所の不承諾通知(入所保留通知)など、延長の理由を証明する書類が必要です。保育園の申し込みをしていないと、この書類自体が手に入らない点に注意してください。延長を見込んでいる場合も、申し込みは必ず行っておきます。

申請の期限も決まっています

出産手当金は、休んだ日ごとにその翌日から2年。育児休業給付金の初回申請は、育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までです。会社任せにしていて失念されやすいので、産休前に手続きの担当者と進め方を確認しておくと安心です。

04. 見落としやすい3つの落とし穴

落とし穴1. 住民税だけは免除されません

住民税は前年の所得に対してかかる税金です。産休・育休で今年の収入がゼロでも、去年働いていた分の住民税は納める必要があります。しかも給与天引きができなくなるため、納付書で自分で払う方式に切り替わるのが一般的です。納付書は例年6月ごろに届き、年4回に分けて支払います。金額がまとまって見えるので、心づもりをしておくと驚きません。

免除されるもの・されないもの
免除される 健康保険料・厚生年金保険料 手当・給付金は非課税なので 所得税もかかりません 免除されない 住民税 前年の所得にかかるため、 納付書での支払いに切り替わります
落とし穴2. 最初の数か月はお金が入りません

審査が遅いわけではありません。出産手当金は産後56日が過ぎてからまとめて申請するのが一般的だからです。協会けんぽは受け付けてから10営業日以内に支払うとしていますが、そもそも申請できるのが産後2か月近く経ってから。会社経由の手続きも挟むため、出産から入金までは3〜4か月かかることもあります。育児休業給付金の初回振込も、育休開始から2〜3か月後になることがあります。つまり産休に入ってから最初の入金まで、数か月の空白ができます。産休前に生活費を確保しておくことが、いちばん現実的な備えです。産前分と産後分を分けて申請できる場合もあるので、早く受け取りたいときは加入先に相談してみてください。

落とし穴3. 社会保険料の免除は自動ではありません

産休・育休中の保険料免除は、会社から年金事務所への届出があって初めて適用されます。産休に入る前に、会社の担当部署に手続きの予定を確認しておきましょう。あわせて、育休を延長したときは延長の届出も必要です。

05. 復帰に向けて知っておくこと

時短勤務にするなら給付金があります

2025年4月に育児時短就業給付金が新設されました。2歳未満の子を育てながら時短勤務をする場合、時短中に支払われた賃金の原則10%が支給されます。「時短で給料は減るけれど、その一部を国が補う」という制度です。

※支給限度額:1か月の賃金が484,121円以上の場合は給付の対象外(2026年8月改定)。賃金と給付金の合計がこの額を超える場合は、超えた分が減額されます。

時短にするなら、忘れてはいけない届出が2つ

どちらも申し出ないと適用されません。落とし穴3と同じ構造です。

  • 育児休業等終了時改定…復帰後に給与が下がったとき、復帰から3か月の報酬をもとに4か月目から社会保険料を下げられる手続きです。これをしないと、下がった給与のまま高い保険料を払い続けることになります。
  • 養育期間標準報酬月額特例…3歳未満の子を育てている間は、給与が下がる前の標準報酬月額で将来の年金額を計算してもらえる制度です。保険料は下がったまま、年金額だけ据え置きという、申し出ないと損しかない手続きです。さかのぼれるのは申出日の前月から2年までなので、早めに。

配偶者控除が使える年があります

育休で年収が下がった年は、パートナー側の配偶者控除・配偶者特別控除の対象になることがあります。出産手当金や育児休業給付金は非課税なので、この判定に使う所得には含まれません。そのぶん該当しやすくなります。自動では適用されないため、パートナーの年末調整か確定申告での申告が必要です。

※所得の基準額とパートナー側の所得制限は年分によって変わります。申告の前に国税庁のページで、その年の基準をご確認ください。

税の扶養と、健康保険の扶養は別の話です

配偶者控除は税金の話です。産休・育休中も自分が勤務先の健康保険の被保険者であることは変わらないため、パートナーの健康保険の扶養に入るわけではありません。混同しやすいところなので、分けて考えてください。

出産費用が高くついた年は医療費控除も

帝王切開や吸引分娩などで自己負担が増えた年は、医療費控除の対象になることがあります。受け取った出産育児一時金は差し引いて計算します。手当や給付金が非課税だからといって確定申告が不要とは限らないので、医療費の領収書は年内分をまとめて取っておきましょう。

保育園の申し込みは育休中に動きます

認可保育園の申し込みは、多くの自治体で入園前年の秋。育休中に見学と申請を済ませる流れになります。申込時期も必要書類も自治体ごとに違うので、育休に入ったら早めにお住まいの自治体のスケジュールを確認しておきましょう。

よくある質問

産休はいつから取れますか?
出産予定日を含む産前42日(多胎妊娠の場合は98日)から取得できます。産前は本人が請求して取る休みなので、ぎりぎりまで働くことも可能です。一方で産後56日は法律上の休業期間で、そのうち産後6週間は本人が希望しても働くことができません。7週目以降は、本人が請求し、かつ医師が支障がないと認めた業務に限って働くことができます。会社から早期の復帰を求められても、本人が請求しなければ就業の義務はありません。
出産手当金はいくらもらえますか?
支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った標準報酬日額の、3分の2が1日あたりの金額です。これに産前42日と産後56日のうち実際に休んだ日数をかけた額が支給されます。平均の標準報酬月額が30万円なら、98日分でおよそ65万円が目安になります。産休中に給与が出る場合は、その分が差し引かれます。
産休・育休中は住民税も免除されますか?
免除されません。健康保険料と厚生年金保険料は免除されますが、住民税は前年の所得に対してかかる税金のため、収入がない期間でも納付義務が残ります。給与天引きができなくなるので、納付書で自分で支払う方式に切り替わるのが一般的です。納付書は例年6月ごろに届き、年4回に分けて支払います。
お金はいつから振り込まれますか?
出産手当金は産後56日が過ぎてからまとめて申請するのが一般的です。協会けんぽは受け付けてから10営業日以内に支払うとしていますが、申請できるのが産後2か月近く経ってからのため、出産から入金までは3〜4か月かかることもあります。健康保険組合の場合は組合ごとに異なります。育児休業給付金の初回振込も、育休開始から2〜3か月後になることがあります。産休に入ってから最初の入金まで数か月の空白ができるため、産休前に生活費を準備しておくと安心です。
育休中に働いたら給付金はもらえなくなりますか?
1か月あたり10日(10日を超える場合は80時間)以下の就業であれば、給付の対象になります。ただし働いて得た賃金が多い場合は、給付額が減額されたり支給されなかったりすることがあります。就業を予定している場合は、事前に勤務先やハローワークに確認してください。
出産手当金と育児休業給付金は同時にもらえますか?
期間が重ならないため、同時に受け取ることはありません。出産手当金は産前42日から産後56日までの産休期間、育児休業給付金は産後休業が終わったあとの育休期間が対象です。産休が明けると、お金の出どころが健康保険から雇用保険に切り替わるイメージです。

まとめ:この3つだけ覚えておけば大丈夫

1. 産休中は約2/3、育休中は67%→50%

社会保険料の免除と非課税があるため、育休の前半までは手取りで8割前後。ただし181日目から50%に下がり、賞与も止まるので、後半は目減りがはっきり出ます。

2. 住民税だけは免除されない

前年の所得にかかるため、収入がない期間も納付が必要。納付書は6月ごろに届きます。

3. 最初の数か月は入金がない

初回振込までの空白は数か月。産休前に生活費を確保しておくのが、いちばん効く備えです。

参考にした公的な情報

※この記事は2026年10月時点の情報をもとに、筆者が実際に手続きした経験を加えてまとめたものです。金額・期間・必要書類は、加入している健康保険や勤務先の規定、お住まいの自治体によって異なる場合があります。手続きの前に必ず各窓口で最新の内容をご確認ください。

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年子(1歳・0歳)を育てながら、出産準備で自分たちが調べ尽くした段取りと公的制度、実際に使ってラクになった育児グッズを記録しています。会社員として働く立場から、勤務先の福利厚生の調べ方もあわせて紹介中。楽天ROOMでは愛用品をまとめています。

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